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社会貢献ジャーナル

生きる力をともに創る。NCGM国際医療協力局の国際協力・支援活動 ~前編~

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守れる命を守るために

病院外来の外で受診の順番を待つ家族病院外来の外で受診の順番を待つ家族

“笑顔が続く未来のために、健康に生きられる明日を”
これはNCGM国際医療協力局のパンフレットにある、アジアの子どもたちの輝く笑顔の横に添えられているメッセージだ。
世界で5歳の誕生日まで生きられない子どもの数は、年間約600万人にものぼるという。このうち40%以上は生後1カ月未満で亡くなっており、妊産婦では年間約29万人が、そしてマラリア、結核、エイズなど三大感染症といわれる疾患で年間約350万人が死亡している。
保健医療が改善されれば守れるはずのたくさんの命を守る。そして、かからなくてよいはずの病気にかからずに済む社会、死ななくてよいはずの患者が死なずに済む社会を創ることが、国際医療協力局の使命とされている。

また、近年では、「もともと先進国病と呼ばれていた糖尿病、高血圧、ガンも開発途上国でも問題になっていて、感染症と非感染症の二重の負荷に苦しんでいます。」(国際医療協力局 人材開発部・広報情報課 蜂矢正彦さん)と指摘するように、開発途上国への医療協力や支援の必要性が更に増している。
このような状況下で、国際医療協力局は地球上のすべての人々が安心して健康な生活を送れる世界を目指し、保健医療専門の国際協力をグローバルに展開する機関である。

NCGMとは

NCGM(=National Center for Global Health and Medicine、国立研究開発法人 国立国際医療研究センター)は、研究所、臨床研究センター、センター病院、国府台病院、国際医療協力局および国立看護大学校から成る、高度総合医療の推進を図るナショナルセンターである。
特に国際的な対応を必要とする疾患に関する診断治療をはじめ、医療の分野における国際協力に関する調査研究、技術者の研修を総合的に行っている。

世界にある約200カ国のうち140カ国以上が開発途上国と呼ばれている。その国々には、貧困のため十分な医療を受けられない、安全な妊娠や出産ができない、予防や治療が可能なはずの感染症で長生きできない人々がいる。
NCGMにおける国際医療協力局の役割は、日本の国際保健医療協力の中核的機関として、あらゆる国の人々が格差なく健康に暮らせるようになることを目的とし、こうした国々の人々の健康を守るために、厚生労働省や外務省、独立行政法人 国際協力機構(JICA)、世界保健機関(WHO)などと連携しながら、さまざまな国際医療協力を行うことである。
また、世界各地で発生する自然災害や感染症流行など、多くの人々の健康を脅かす危機にも医療チームを派遣し、救援にあたる活動も続けている。

人材育成と仕組みづくりノウハウを持つ組織

国際医療協力局のミッションは「地球上のすべての人々が健康な生活を送ることが等しくできるような世界を目指し、開発途上国の保健向上のために専門性を提供し、また、我が国にその経験を還元する」ことだ。

この理念に基づき、医師、看護師、助産師、保健師、検査技師、薬剤師など約50名の専門家の約半数を常に海外に派遣している。「医師も看護師も、社会人として5年、10年と基礎的な業務経験を積んだ方が国際医療協力局に入って来られます。」(蜂矢さん)と言うように、保健医療分野での高い専門性を備えた、過酷な現場でも即時に実践力が発揮できる人材が揃っている。
これらの経験豊富な人材が、相手国の資質と実情に応じて主体性を尊重した協力に一貫して取り組み、国家行政レベルの政策支援から小さなコミュニティにおける保健医療サービスの改善まで、包括的な課題解決に導く技術支援を提供している。

人材育成と仕組みづくりのノウハウ、国際的課題の解決策を開発し展開する技術力、マクロ・ミクロレベルの協調のための調整力など、豊かな知見が結集し効果的で質の高い国際保健医療協力が展開できるのが国際医療協力局の強みだ。また一方で、保健医療人材の育成のために開発途上国から研修生の受け入れも行っている。1986年10月に旧国立病院医療センターの中に国際医療協力を専門とする部門として設立されて以降、これまで約130ヵ国に延べ3,600名ほどを派遣し、ほぼ同数の外国人研修生を受け入れている。

3つの重点テーマに注力した活動

新生児室にて、日本から供与された検査機材の使用方法を説明しているところ新生児室にて、日本から供与された検査機材の使用方法を説明しているところ

国際医療協力局は、「保健システム強化」「母子保健」「疾病対策」の3分野を国際保健医療協力活動の重点テーマとして取り組んでいる。

【保健システム強化】
開発途上国において公平な保健医療サービスの提供を実現するために、質の高い技術協力プロジェクトや政策アドバイザー派遣を通じて取り組む活動だ。
アジアとアフリカを重点地域とし、保健医療に携わる人材の育成や関連する法的基盤整備、地域保健システムの強化、病院管理や保健医療サービスの質の改善など、さまざまな分野に技術支援と政策提言を行っている。特に保健人材開発を最重要分野と位置付けている。

【母子保健】
開発途上国で暮らす母親、新生児、子どもに対して、強固な保健システムに裏打ちされた質の高い、母子を中心とした継続的なサービスが提供されることを目指す取り組みだ。
開発途上国の住民、保健医療従事者、施設管理者、保健行政官の知識・技術・モチベーションの強化と、その人たちを取り巻く環境や制度の改善を、技術協力、研究、ネットワーク作りなどを通じて支援する。

【疾病対策】
熱帯、僻地、貧困などの要因で開発途上国において蔓延する多くの感染症に対して、予防接種の普及やHIV/AIDS治療の推進など、さまざまな課題に取り組んでいる。
アジア、アフリカを中心に、三大感染症(エイズ、結核、マラリア)、インフルエンザ、ワクチン予防可能感染症、寄生虫疾患などに関するフィールド調査活動や研究も行う。

時代とニーズに合わせて変化を遂げる活動

国立国際医療研究センター国際医療協力局 広報の蜂矢さんと医師の岩本あづささん国立国際医療研究センター国際医療協力局 広報の蜂矢さんと医師の岩本あづささん

【最初はカンボジア難民キャンプ援助】
1979年、日本政府によりカンボジア難民キャンプへの医療援助が決定し、NCGMの前身である国立病院医療センターからも初めて医師を派遣した。その後、少数ながらも医師を派遣し続け、1986年10月に正式に「国際医療協力部」が発足。当初は医師5名、事務職2名のわずか7名でのスタートだった。

【援助から人材育成へ】
難民キャンプでの緊急援助から始まった活動は、次第に開発途上国での保健医療分野の人材育成にも重点を置くようになった。無償資金協力によって建設された病院に、数多くの医療従事者を派遣して、診断・治療などを含めた医療技術支援を実施した。

【地域の保健医療システムづくり】
活動を続ける中で、病院での医療技術支援だけではごく限られた人々しかその恩恵を被ることができない現実に直面し、地域の保健医療を担う行政への支援の重要性が高まり、医療施設を中心とした地域保健医療システムづくりへと活動の軸足をシフトさせた。

【援助協調と政策支援】
保健医療分野では、援助の効果向上のため、さまざまな援助機関や組織が協力して支援活動を行う“援助協調”が主流になってきている。
国際医療協力局も、さまざまな国際会議や調査団などに参加するほか、2009年から保健システム強化に関するWHOの協力センターにも指定されるなど、現場に根差した知見を国際社会に還元しながら活動している。

後編では、実際にアジアの新生児医療に取り組んだ岩本あづさ医師に、国際協力や支援の実情とあり方について訊く。

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