1. 【第17回】離島の「健康」を守る移動基地 『海の上の診療所』×済生丸(瀬戸内海巡回診療船) 話:岩本一壽(岡山県済生会支部長)

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【第17回】離島の「健康」を守る移動基地
『海の上の診療所』×済生丸(瀬戸内海巡回診療船)
話:岩本一壽(岡山県済生会支部長)

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1961年、恩賜財団済生会設立50周年記念として、瀬戸内海離島地域の巡回診療船「済生丸」が計画された。現在、岡山、広島、香川、愛媛県の62の島々を巡回して診療・検診をおこなっている済生丸について、岡山県済生会支部長の岩本一壽(いわもと・かずとし)氏にお話を伺った。

テレビドラマ『海の上の診療所』(出演・松田翔太、武井咲、藤原紀香、福士蒼汰、荒川良々、寺島進)


扶桑社/徳永友一(脚本)、高橋れい子(ノベライズ)/四六判/1365円(税込)

医師がいない「無医島」の多い瀬戸内海では、巡回診療船「海診丸」が、医師や看護師を乗せて定期的に巡回し、本土での治療が難しい島民の診療や外科手術、健康診断、救急患者への一次対応などにあたっている。その海診丸に北海道出身の若手外科医・瀬崎航太(松田翔太)が着任した。航太は、あらゆる年代の女性に優しいフリーランスの外科医だが、自身の嫁探しを兼ねて離島での医療に携わろうと船に乗り込んできたのだった。的外れに見える診療や、治療に必要と思われる薬を出さない方針に、看護師の戸神眞子(武井咲)からは着任早々医師としての資質に疑念を持たれてしまう……。航太は行く先々の島でマドンナに恋をし、そのマドンナが抱えている問題を解決すべく奔走する。しかし、結局はフラれ、涙しながら次の島へ行き、そこでまた恋をする。1話に一人のマドンナが登場しドラマを繰り広げていく。

内科医の内村葵に藤原紀香、看護師の三崎昇に福士蒼汰、事務長で葵の夫の日内晃に荒川良々、船長兼料理長の海藤剛に寺島進らが共演。
ドラマを元にしたノベライズが扶桑社より発売されている(脚本・徳永友一、ノベライズ・高橋れい子)。

一般診療から予防医療へ


済生丸

恩賜財団済生会は、明治天皇の「恵まれない人々のために施薬救療による済生の道を広めるように」との「済生勅語」を受けて、1911年に設立されました。そして1961年に設立50周年記念事業として、無医村・無医地区に対する巡回診療のため、瀬戸内海離島地域には巡回診療船を計画。それまで、岡山県では「青い鳥号」という19トンの船で笠岡諸島を巡回診療していたのですが、船が小さいために必要な医療機器を搭載することがでず、限られた診療しかできなかったのです。

当時の岡山済生会総合病院の大和人士院長が、医療の恩恵を受けられない島民が多いことを知り、青い鳥号に替わる、本格的な「中規模病院の機能をもった診療船」の必要性を訴えました。それを受けて建造が決まり、翌年に就航したのが「済生丸」です。済生会の本部事業としてのスタートでした。

瀬戸内海には大小600の島がありますが、その多くは島内に医療機関がない無医島です。病気の発見や治療が遅れがちにならざるを得ません。初期のころは投薬や注射などの一般診療が中心で、患者さんもそれを求めたのですが、島を訪れるのが年に1~2回、多くても数回では十分な治療をすることはできません。それよりも、患者さんが自分の健康は自分で守ることを支援する予防医学──巡回診療や検診、保健指導を重視したものに舵を切るようになりました。


岡山県済生会支部長 岩本一壽氏

当初は島民の方から「こんな島まで患者を集めに来るのか」とか「無料診療をしているのは済生会が儲かっているから」などと冷たい目で見られることもありました。

岡山、広島、香川、愛媛県の62の島々を巡回して診療・検診に当たる済生丸には、4県にある済生会の8つの病院のスタッフが持ち回りで乗り込みます。スタッフは、実施する診療・検診の内容によって4~12人です。岡山県の島に行くときは岡山県のスタッフが、愛媛県の島に行くときは愛媛県のスタッフが乗り込みます。スタッフは医師だけでなく、薬剤師、保健師、看護師、放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、栄養士、MSW(医療ソーシャルワーカー)、事務職員と多職種にわたります。また、船の運航・管理には、船長、機関長、航海士、機関士、甲板員の5人が当たります。このような体制で年間延べ1万人弱の診療・検診を行っているのです。

地域医療の研修の場としても

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橋ができても止まらない過疎の島を守る

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