1. 【第14回】心臓の難手術を成功に導くために ~『医龍 ─Team Medical Dragon─』×須磨久善(須磨スクエアクリニック院長)~

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【第14回】心臓の難手術を成功に導くために
~『医龍 ─Team Medical Dragon─』×須磨久善(須磨スクエアクリニック院長)~

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『医龍 ─Team Medical Dragon─』 作画・乃木坂太郎、原案・永井明
テレビドラマ『医龍 ─Team Medical Dragon─』 出演:坂口憲二、稲森いずみ、阿部サダヲ

『医龍』『医龍』

東北の寒村で隠遁生活を送っていた外科医・朝田龍太郎のもとを、明真大学医学部助教授の加藤晶が訪ねてきた。心臓の難手術であるバチスタの手術論文を成功させて自らの教授選出を図り、今の大学医療を改革するため、朝田をスカウトするというのが目的だった。朝田は「自分はもう医者ではない」と拒否するが、加藤に押し切られ心臓外科医として復帰する。明真大学医学部教授の野口賢雄らが支配する封建的な病院体制の中で、朝田は研修医の伊集院を鍛え、内科医の藤吉をはじめとする優秀なメンバーを揃え、次々と難手術を成功に導いていく。

2002年より『ビッグコミックスペリオール』(小学館)で連載を開始し、2011年に完結(単行本は全25巻完結)。2004年小学館漫画賞受賞。
2006年より同名のテレビドラマがフジテレビで制作・放送され、その後、2007年、2010年、2014年に続編が「木曜劇場」枠で放送されている。主役の朝田龍太郎に坂口憲二のほか、稲森いずみ、小池徹平、阿部サダヲ、佐々木蔵之介らが共演。第49回ザテレビジョンドラマアカデミー賞で最優秀作品賞、音楽賞、監督賞を受賞。

常識にとらわれない自由な発想で

須磨久善氏須磨久善氏

僕が医師になりたいと思ったのは中学2年の時だったかな。当時は、人を押しのけてでも頑張るモーレツ社員というのが望まれている時代。でも、僕は人と競争したり、相手を押しのけたりすることが好きではなかったので、サラリーマンになっても落ちこぼれてしまいそうな気がしました。将来は競争しなくてもよい職業に就きたいと考えた末に出した結論が医師。当時、流行っていたアメリカの医療ドラマ『ベン・ケーシー』の影響があったのかもしれません。

通っていたのは中学から大学までの一貫校だったのですが、大学には医学部がなかった。高校3年のときに模擬試験を受けたら、ある科目でなんと8点でした。100点満点中ですよ。のんびりしていたんでしょうね。それで、猛烈に勉強を始めたのが高校3年の夏。必死でしたね。なんとか他大学の医学部に受かって、めざしたのは外科医です。これも『ベン・ケーシー』の影響でしょうね。なかでも心臓外科を専門に選んだのは、海外の医学雑誌で心臓バイパス手術の様子を見たことがきっかけでした。

卒業後に選んだ先は東京・虎の門病院でした。当時、心臓外科はまだなかったのですが、心臓以外のこともきちんと学ばなければと、一般外科で研修を受けました。病理や麻酔、胃をはじめとする消化器系臓器の手術も経験できました。この経験がのちに大きく役に立ったのです。

4年後に順天堂大学の胸部外科に入局。心臓外科医としてのキャリアをスタートさせました。その頃、心臓の冠動脈バイパス手術には脚の静脈を使うのが一般的でした。しかし、静脈血管では心臓から送り出される血流に耐えきれず、また詰まることも多く、長くもたなかったのです。そのために、バイパス手術に適した血管を探す研究も進んでいました。内胸動脈を使う医師もいましたが、僕は胃の大網動脈を使うことを思いつき、バイパス手術を成功させました。術後の経過もよく、もちろん胃のほうも問題なし。虎の門病院時代に胃がんの手術を何回も経験できたことがよかったのでしょうね。

肺や心臓は胸部外科、胃や腸、肝臓などは腹部外科と科が分かれていますので、胸部外科の医師が腹部外科の領域に踏み込むことはこれまで考えられなかったのでしょう。その点、僕には垣根がなく、柔軟に考えることができたのです。胃の大網動脈を使ったバイパス手術は、その後、世界中に広まっていきました。

準備に準備を重ねて手術に臨む

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ドラマであっても細部まで手を抜かない

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