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日本のヘルスケアを展望する ~2018年を未来につなげる地域医療づくり~

講演 2

慢性期病院における医業経営


介護療養と医療療養25対1が廃止されるなか、
新たに設けられる介護医療院の役割とその活用策とは。
また、日本慢性期医療協会会長、
「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」構成員の経験に基づいた
「慢性期病院の担うべき役割」について解説する。


武久 洋三 氏(一般社団法人日本慢性期医療協会 会長)

武久 洋三
(一般社団法人日本慢性期医療協会 会長)

1966年
岐阜県立医科大学 卒業
1971年
徳島大学大学院医学研究科 修了
1984年
博愛記念病院 開設

今回の診療報酬と介護報酬の改定では、医師にその役割をきちんと果たすよう求められている。慢性期病棟でも治療をする病棟が評価され、社会的入院は認められないというメッセージが感じられる。
診療報酬は0.55%のプラス改定だが、アウトカム(治療の成果)や在宅連携が重視されている。加算を得る努力をすればするほど患者さんの健康状態が改善し、医療や介護の必要がなくなり、医療費の削減につながるだろう。
国は医療費が高い急性期病棟の数をしぼりたいという意向がある。慢性期も地域急性期も、きちんと治療をして2週間くらいで改善して退院してもらえば1日単価が高くなるようになっている。ただし、大病院で、同じ敷地内の急性期から地域包括ケアに移動するような垂直連携は、今回の改定では評価されない。

2018年度診療報酬改定の主なポイント

2018年度診療報酬改定の主なポイント

2018年度診療報酬改定の主なポイント

病院経営にとって、入院単価よりも空床率が問題だ。後期高齢者はこれからも増加するが、65歳以上の入院患者数は減っている。将来、入院率も在院日数も下がっていくので、いま空床があるなら、ベッド数を減らしたほうがいい。
診療報酬は平均的に運営したら数パーセントの利益がでるようになっている。大赤字になっているところは、運営に問題がある。
空床を埋めるために、漫然と入院させている病院がある。どういう病状なら入院で、どういう病状なら退院できるかを医師がきちんと判断するべきだ。元気な人でもモニターをつければ医療区分3といったごまかしはきかなくなった。適切な医療が施されているか、会計検査院が実地検査をおこなっている。

療養病棟入院基本料の再編・統合のイメージ

療養病床における褥瘡に関する評価は、アウトカム評価が導入された。患者の褥瘡の状態を、DESIGN-R分類を用いて定期的に評価する。
疾患別リハビリテーションは、退院3か月以内の患者について認められる。
回復期リハビリテーション病棟は、リハビリテーション実績指数を評価するようになった。リハビリ実績指数を上げるには、FIM利得を上げるか在院日数を短縮するかだ。どちらも食事と排泄がポイントになる。

DESIGN-R分類

FIM利得でもBarthel IndexによるADL評価でも、排泄や食事関連の項目が多く、点数を得やすい。言語聴覚士による嚥下リハビリテーションや排泄訓練は、効果が上がりやすい。排泄や食事が自力でできれば、自宅や在宅系施設などの在宅に帰れる。
低栄養で脱水の高齢患者について、間歇的補液療法に力を入れている。強度の脱水状態で入院した患者であっても、適切な水分投与・栄養投与により、自宅退院できる例がある。
適切なケアをすれば、よくなる人はどんどんよくなる。病院は治療をするところであり、ただ受け入れて看取るところではない。
病状が軽く要介護度の重い人には、介護保険に介護医療院という区分ができた。積極的な治療をせずに看取りをするには介護医療院がいい。ただ、介護医療院への転換は、介護保険財政を圧迫するという問題がある。転換により国の医療費・介護費用の総額は下がるので、この問題は解決する必要がある。

2018年度診療報酬改定の主なポイント

2018年度診療報酬改定の主なポイント

アウトカムを高めるには、職員の数だけではなく、質とモチベーションが重要だ。
ごまかしで報酬を稼ごうとしても、職員には見られている。職員に信頼されない病院は、地域に悪いうわさが広まってしまう。職員に信頼される病院は、職員紹介で質の高い職員が集まり、地域住民にも認められて患者が集まってくる。
地域の診療所との信頼関係やサポートも大切だ。
日本の医療が生き残るには、急性期病床を半減する、中途半端な急性期病院の平均在院日数を半分にする、定年を70歳にして元気な中高年を活用するなどの方策が必要だ。
医療費はどんどん効率化されるので、変化についていけない病院は生き残れない。