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日本のヘルスケアを展望する 地域医療構想を実現する医業経営とは

講演 1

地域医療構想の現状と課題
~第7次医療計画に向けて~


地域医療構想は、平成28年度中に全都道府県で策定される予定であり、
すでに策定した地域では、病床再編に向けた具体的な動きが始まっている。
こうした現状と、これからの課題、そして平成30年度からの
第7次医療計画の策定に向けたビジョンを説明する。


佐々木 健 氏(厚生労働省 医政局 地域医療計画課長)

佐々木 健
(厚生労働省 医政局 地域医療計画課長)

和歌山県立医科大学医学部 卒業

平成 5年
厚生省入省
平成12年
広島県福祉保健部健康対策課長
平成17年
厚生労働省九州厚生局医事課長
平成22年
岡山県保健福祉部長
平成24年
厚生労働省健康局新型インフルエンザ対策推進室長
平成25年
厚生労働省大臣官房総務課企画官(保険局併任)
平成27年
厚生労働省健康局がん・疾病対策課長
平成28年
厚生労働省 医政局 地域医療計画課長

団塊の世代が75歳に達する2025年に向けて、医療需要の増大への対処が急務だ。医療法の平成26(2014)年第6次改正では病床機能報告制度と地域医療構想の策定が定められた。
地域医療構想は、2025年の時点での医療需要を構想区域単位で推定するものだ。病床機能報告制度は、これまでの区分では見えにくかった医療機能を明確にするものだ。各医療機関には、高度急性期、急性期、回復期、慢性期という機能について、現状と将来像を自主的に選択して報告してもらう。報告された医療機能別病床数をもとに、推定医療需要との差を小さくするための調整を行っていく。
平成26年度に病床機能報告制度が開始され、平成27(2015)年度から地域医療構想の策定が始まった。平成27年度の機能別病床数を見ると、急性期が多く回復期が不足している。平成28(2016)年のデータは解析中だが、若干急性期が減って回復期が増えているものの、傾向はほぼ同じだ。

地域医療構想で推測する医療需要は、2013年の需要状況をベースに2025年の推計人口から計算したもので、当然のことだが現状とは異なっている。
病床機能報告制度で、実際にどのような病床がどの医療機能を担うかは、明確な定義が示されていない。現在、各医療現場の協力で判断基準を整備中だ。DPC(包括医療費支払い制度)やNDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)のデータから判断の目安を示したが、これはあくまで目安であり、○点以上を満たせば○○期と認定されるわけではない。
在宅医療や介護施設の充実度や使い方には地域差があり、慢性期機能の入院受療率は都道府県によって違いがある。慢性期機能の医療需要は、2025年には、一定割合が在宅医療等(自宅や介護施設)に移行していくものとして推計する。慢性期の入院受療率の地域差の解消目標は、目標の厳しさによってパターンA、Bに分けられる。

都道府県ごとの推計では、2025年に向けて首都圏と大阪府の病床数が不足し、残りは概ね過剰となる。

2013年時点で全国の病床数は134.7万床だが、内閣官房情報調査会の資料では、機能分化等をしないまま高齢化が進むと2025年には152万床が必要になる。機能分化・連携を進めれば、必要病床数は115~119万床に抑えられる。
平成28年末現在で、39の都道府県が地域医療構想の策定を完了し、残り8の府県も平成28年度内にすべて完了する予定だ。すでに策定された39都道府県の構想をみると、高度急性期と急性期は約31%縮減し、回復期は約222%増加する。これは、国の試算と概ね一致する。機能分化・連携の調整方法は、病院再編をめざすところもあれば、病院ごとの病床増減で対応しようとするところもある。

調整のための経済的な支援として、地域医療介護総合確保基金がある。これは、地域医療構想の達成に向けた施設の整備費用、在宅医療を提供するための人材確保、医療従事者の人材育成・確保のために利用できる。
病床の新規開設や機能転換は、都道府県知事の許可権限で、不足する機能を担うように調整していく方針だ。

平成30(2018)年度からの医療計画をより実効性が高いものにするために、医療計画の作成指針等を見直す検討会を開いている。基準病床数の算定法を見直したり、地域医療構想調整会議で議論する内容や進め方の手順を示したりする予定だ。
地域医療構想調整会議で医療機関の役割を明確化するには、まずは救急医療や災害医療について議論をしていくことだ。新規参入や規模拡大をめざす医療機関は、開設前に調整会議でプレゼンテーションをしてもらって、認めるかどうかを決めるとよいだろう。地域住民への啓発活動を行い、どこで受診するか理解してもらうことも必要だ。
平成30年には、第7次医療計画と第7期介護保険事業計画が同時に改定される。地域の声を聞きながら、ともに進めていきたい。