1. 認知症患者の「身体拘束」急増が話題に!厚労省調べにより、およそ倍増と判明

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2018.04.26

認知症患者の「身体拘束」急増が話題に!
厚労省調べにより、およそ倍増と判明

病院には患者さんの安全を第一に確保しなければならない責任があります。ただし、精神科をはじめ医療現場でやむをえず行う身体拘束は、患者さんの心を深く傷つけかねません。患者さんのQOL向上は課題のひとつですが、全国的に「身体拘束」が急増していることが明らかとなり、世間に大きな波紋が広がっています。

厚労省の調べで「身体拘束」の急増が発覚

厚生労働省が全国の精神科病院を対象に行った調査で、「身体拘束」は10年あまりでほぼ倍増していることが分かりました。身体の拘束は安全策のひとつではありますが、「用具で人を動けなくする」という衝撃的なイメージと急増率が注目され、SNSでも広く話題となっているようです。

身体拘束が行われる数は、全国で1日1万件以上。その背景のひとつには、認知症を患い精神科病院に入院する高齢者が増えている実情があると考えられています。重度の認知症や精神障害によって自宅での介護が難しくなった患者さんなど、介護施設が入所を断るケースもあり、最終的に頼られるのは精神科病院となっているのです。

しかし、入院患者さんの状況によってその都度適切な人数の介護士を配置することは容易ではありません。24時間目を離さず十分なケアができれば拘束せずに済む患者さんがいたとしても、わずかなスタッフではそれも叶わず、患者さん全員の安全を守るために、やむをえず拘束するケースが増えているようです。

身体拘束が認められる基準について考える

精神保健福祉法に基づく基準においては、指定医が以下のいずれかであると判断した場合、代替手段が無ければ身体拘束が認められています。

  • 自殺や自傷行為が切迫している。
  • 多動・不穏が顕著である。
  • 精神障害のため、放置すれば患者さんの生命に危険が及ぶ恐れがある。

スタッフが手薄になる夜間のみ身体拘束をおこない昼間ははずすなど、他の手段で安全が確保できる状況になり次第、拘束をはずすことが前提です。

それでも、身体拘束が患者さんやそれを知ったご家族の精神に及ぼす影響は大きく、医師の判断に疑問を持たれるケースも多いと言います。拘束を避けるための人事的な改善が難しい状況であっても、新たな対策を求める声は大きくなるばかりです。

身体拘束を減らす取り組みも話題に

たとえ医療の一環として行われることであっても、身体拘束ができるだけ避けるべき行為であることは確かです。拘束される患者さんだけでなく、人を拘束しなくてはいけない医療スタッフにとっても精神的につらい手段と言えます。

その事実を受け止め、なかには徹底して取り組みを行い身体拘束を9割減らすことに成功した病院もあったようです。そんな彼らが実践した成功の秘訣は、以下の4点だといいます。

  • 身体拘束が人の心身に与える影響をきちんと学ぶ。
  • 軽度の患者さんから徐々に取り組む。
  • 患者さんを拘束で止めるのではなく、問題行動や事故の原因を調べて可能な限り改善する。
  • 患者さん本人やご家族から、身体拘束をしないことについて同意をもらう。

とりわけ最後の1点は、身体拘束を減らしたくても身動きが取れずにいた病院にとってとても重要です。「精神ケアを優先させるために拘束せず、それに伴うリスクを理解している」という同意のサインをもらっておくことで、自信を持って拘束排除に取り組むことができます。

患者さんの安全を第一に考え、医療スタッフは常に限られた人数で懸命に対応しようとしていますが、現状は苦しいものです。認知症高齢者を支える社会の仕組みを整えるための状況の改善は決して容易ではありませんが、少なくとも、身体拘束を回避する建設的な事例からは、学べることがありそうです。

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