1. ヒルドイド処方量の増加が再び大きな話題に!美容目的で処方薬を求める患者さんへの対応

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2018.01.19

ヒルドイド処方量の増加が再び大きな話題に!
美容目的で処方薬を求める患者さんへの対応

処方薬が国の財政に及ぼす影響は、頻繁に問題として上がってくる議題です。薬の処方時は残薬の問題を意識して丁寧な説明を心がけている医師も多いことでしょう。

そんななか、美容目的で処方薬を求める患者さんがいるという問題がメディアに取り上げられ、大きな反響を呼んでいます。

安くてよく効く保湿剤?注目を集めるヒルドイド問題

皮膚疾患の患者さんに対して処方する、ヒルドイド。保湿を目的としたヘパリン類似物質を含む処方薬ですが、近年このヒルドイドの処方量が急激に増加していることが指摘されています。

問題の発端は、「ヒルドイド(ヘパリン類似物質)は市販の美容液よりも安くてよく効く保湿剤である」と解釈できる内容が、インターネットで紹介されたことです。それにより、皮膚科では、処方薬であるヘパリン類似物質を余分に求められ、患者さんまたはその家族が美容目的で使用するケースが急増したと分析されています。

「処方薬は、あくまで医師が患者さんの治療に必要な薬剤を投与するためのもの」「安価なのは、国が病に苦しむ国民のために保険で負担しているから」「にもかかわらず、(アトピー性皮膚炎の)子供のためとして余分に処方薬を求め、親が美容目的で利用している」 さすがにこうした指摘は世間にも響いたようで、ヒルドイドの話題が一般のメディアに取り上げられると、たちまち大きな話題となりました。

ヘパリン類似物質の処方量を政府も問題視

皮膚乾燥症などに用いるヘパリン類似物質の処方量は、25gチューブ4本分程度以下が一般的です。しかし、厚生労働省は、一度に10本以上処方されているケースが年間100万回を超えていることを示す資料を提示し、これを問題として取り上げています。

中央社会保険医療協議会総会では、ヒルドイドをはじめとしたヘパリン類似物質の適正使用をめぐって議論がおこなわれ、「処方状況によって保険の適用外とすべき」「除外すべき状況の明確な判断は困難」などの意見が交わされているようです。

一方で、余分な処方薬を求められる医師にとっては、実害を被る可能性のある深刻な課題でもあります。患者さんの要望を退けたせいでクリニックの悪評を拡散されては、地域の信頼を失いかねません。ただ適正処方を断行するだけでは危険を伴う、デリケートな問題でもあるのです。

美容目的で処方薬を欲しがる患者さんへの対処法

厚生労働省によると、ヒルドイドの製薬会社は「自己判断による使用は適切な効果が見込めないだけでなく、思わぬ副作用が発現するリスクがある」と言及しています。必要以上の薬を欲しがる患者さんには、これに加え「(あなたは美容目的で使用するつもりではないと分かっているが、)近年ヒルドイドの処方量が問題視されており、国も厳しい目で見ている」と伝えるのもいいでしょう。

また、余分な処方を断った場合、患者さんの不満は「医師は容易にいくらでも薬を出せるはずだ」という誤解によって生まれている傾向があります。その患者さんの周囲の誰かが他の医師から薬を余分にもらった経験がある場合はとくに、断る医師個人に「悪意がある」と解釈されるのです。

そこで、決して患者さんの要望をないがしろにしているわけではなく、「医師が治療に必要な薬剤を多く見積もることは禁じられており、(たとえしてあげたくても)そのルールを破ることはできない」という姿勢を穏便に伝える必要があります。同情心を示しつつ、患者さんの怒りの矛先を「不可抗力」に向けるのが得策です。

常識を欠く情報にも晒されている患者さん側の意識改善は、しばしば困難を極めます。しかし、政府が慎重な姿勢を見せている状況下では、最前線で一人ひとりの対応にあたる医師の力がとりわけ重要となりそうです。

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