1. 肥満治療「貼るだけで痩せ体質になるパッチ」のマウス実験が話題!白色脂肪組織を局所的に褐色化

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2017.12.25

肥満治療「貼るだけで痩せ体質になるパッチ」のマウス実験が話題!
白色脂肪組織を局所的に褐色化

現代人の豊かな生活環境の副産物とも言える「肥満」。多くの合併症を引き起こす原因として問題視されている肥満について、貼るだけで治療に役立つというパッチの開発が注目されています。そのメカニズムとは、一体どのようなものでしょうか?

貼るだけで肥満治療に役立つパッチの開発が話題に

この研究に携わっているのはコロンビア大学とノースカロライナ大学で、コロンビア大学メディカルセンターの発表によると、今回マウス実験において最終的に肥満のマウスの脂肪を減少させることにつながった「パッチ」は、装着部に薬物を投与するものだそうです。この薬は、白色脂肪組織に働きかけ褐色脂肪組織のような脂肪組織への変換(褐色化)を促します。

余分なエネルギーを蓄積する白色脂肪に対し、褐色脂肪は体内の脂肪を燃焼し熱を生むという働きを担う脂肪細胞です。つまり後者は、「痩せやすい体質になる脂肪」と言えます。ただし、ヒトの場合、新生児の頃は褐色脂肪を持っているものの成長とともに失われ、成人の体内には少ししか残っていません。

そこで現代医療の最先端では、肥満や糖尿病といった代謝障害の治療法として、脂肪の変換方法が模索されています。何をしても痩せられない、しつこく居座り続ける白色脂肪細胞を、褐色脂肪細胞のような脂肪に変換しようというのです。これが成功すれば、治療の一環である運動をはじめとした取り組みにも効果が出やすくなると考えられます。

白色脂肪組織を褐色化するパッチのメカニズム

約1センチ角大のパッチの接着面には、無数のマイクロニードルが整然と配置されています。充填する薬はおよそ250ナノメートルのナノ粒子で包まれており、ニードルから出たナノ粒子が脂肪組織に到達する頃には劣化して中の薬が放出される仕組みです。

研究者によると、パッチを皮膚に接着しても針が刺さるような痛みは感じないと言います。また、パッチ内の薬が、一気に投与されることはありません。先述の通り、薬はゆっくりと崩壊するナノ粒子に包まれているからです。

白色脂肪細胞を褐色化する方法としては、すでにいくつかの薬物に効果が認められています。しかし、臨床で利用可能なものとはいえ、経口や注射などで全身を薬に晒す場合は、胃の不調、体重増加、骨折などの副作用も想定されます。研究者らは、パッチで局所的な薬物投与をおこなうことで、そうした危険性も軽減できるのではないかと考えているようです。

マウス実験で脂肪は20%減・血糖値も安定

今回の研究が発表された時点ではまだ臨床試験はおこなわれていませんが、開発中であるこのパッチを使ったマウス実験の結果は良好でした。

用いられた薬物は、ロシグリタゾンと、マウス実験で脂肪の褐色化促進効果が認められたβアドレナリン刺激薬です。実験に使われたのはいずれも肥満のマウスで、それぞれの薬を投与する2つの群には、薬を含むナノ粒子を充填したパッチ、空のナノ粒子を充填したパッチ、それぞれを腹部の左右両側に付着。また、対照群には両側に空のナノ粒子を充填したパッチを付着しました。その後、いずれも4週間、3日ごとに新しいパッチに貼り替えたとのことです。

すると、薬を投与したマウス群は対照群と比べて脂肪が20%減少、代謝活動の尺度を示す酸素消費量が20%増加、空腹時の血糖値も低下したという結果が出ました。遺伝子解析でも、薬を投与した群からは褐色脂肪に関連した遺伝子が多く確認され、脂肪細胞が褐色化した結果であることを示唆していたと言います。

現在、臨床試験の実現に向け、研究者たちは局所的に脂肪細胞を褐色化し身体全体の代謝量を効果的に上げられる薬やその組み合わせを研究中です。

はたしてこのパッチが臨床現場に登場する日は来るのでしょうか?
世間一般には「貼るだけで痩せる」と解釈されがちなこの医療パッチですが、生活習慣を改め肥満治療を決意した患者さんにとっては、手術以外の心強い選択肢となりそうです。

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