1. 小頭症の原因「ジカウイルス」をがん治療に活かす!悪性脳腫瘍を小さくするマウス実験に成功

いま話題騒然!噂の医療ニュース最前線

2017.12.18

小頭症の原因「ジカウイルス」をがん治療に活かす!
悪性脳腫瘍を小さくするマウス実験に成功

母体が感染すると胎児が小頭症になる危険性があると騒がれたジカ熱。その原因であるジカウイルスの性質を、がん治療に役立てようという研究が米国で進んでいます。治療の難しい脳腫瘍のひとつである悪性がん「膠芽腫」の細胞だけを狙って攻撃するという、新たながんウイルス治療法の研究です。

ジカウイルスで脳腫瘍幹細胞を殺すがん治療研究が話題に

今回発表となった米ワシントン大学とカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究は、ジカウイルスで脳腫瘍の治療を試みるというものでした。この研究はイギリスの公共放送BBCニュースにも取り上げられ、世界的に話題となっています。

実験において研究チームは、きわめて悪性の脳腫瘍として知られる神経膠芽腫(グリオブラストーマ)の幹細胞を、ジカウイルスによって死滅させられることを発見。新たな治療法につながる可能性があるとし、期待が高まっているようです。

米国では年間約12,000人が神経膠芽腫と診断されており、標準治療は手術とその後の化学療法および放射線治療となっています。しかし、標準治療でがん細胞を残らず死滅させることは困難です。その結果、ほとんどの神経膠芽腫が6カ月以内に再発してしまいます。そこで、このジカウイルスによる新たな治療法が、有望視されているのです。

ジカウイルスの性質を逆手に取った、がん治療のメカニズム

ジカウイルスは、小頭症の原因としても知られるように、神経前駆細胞を特異的に標的とします。研究者によると、「神経膠芽腫を際限なく増殖する幹細胞」が、「脳を爆発的に成長させる神経前駆細胞」を思い起こさせたことが、この研究のきっかけだったそうです。

ジカウイルスの性質を逆手に取り、診断時に患者さんから採取した細胞にジカウイルスを感染させてがんウイルス治療の実験を試みたところ、ジカウイルスは神経膠芽腫の幹細胞を攻撃。その他の腫瘍細胞は標的としないことがわかりました。

この結果を受け研究チームは、いつかこの治療が標準治療と併用される可能性があると述べています。化学療法や放射線治療で腫瘍細胞を攻撃しつつ、そこで死滅させきれず残ってしまった幹細胞はジカウイルスに攻撃させ根絶を目指すという方法です。

がんウイルス療法の安全性を追求する長い道のり

神経膠芽腫の幹細胞を攻撃するジカウイルスの働きを発見しても、新たながんウイルス療法として確立するためには、効果と安全性の追求という長い道のりが待っています。 まず、研究者らはマウス実験で、脳腫瘍にジカウイルスを直接注射してその有効性を確認しました。これを臨床でおこなうとなると、腫瘍の摘出手術中にジカウイルスを直接患部に注入するということになります。他の部位への注射や点滴などでは、腫瘍の幹細胞に到達する前に免疫系がウイルスを死滅させてしまうからです。

一方で、てんかん患者の脳組織を用いた実験では、ジカウイルスが非がん性の脳細胞には感染しないことを確認しました。

研究チームは、がん治療に使うジカウイルスの安全性をさらに高めるため、有益な特性を持つ突然変異体を人為的に作り出す研究にも取りかかっています。がんの殺傷力は温存しつつ、ジカ熱の発病はできないウイルスに改良しようというのです。

世界中で一時メディアを騒がせたジカウイルスですが、この研究がすすめばいずれ多くの人々を苦しめるがん治療の要となる日が来るかもしれません。ただし、やはり人々が感染を恐れる強力なウイルスだけに、安全性の確保には十分な対策が必要となりそうです。

噂の医療ニュース最前線 記事一覧

この記事を見た方はこんなコンテンツも見ています