1. 男性更年期障害に対する認知度が向上中!うつ病と誤認されがちなLOH症候群

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2017.09.21

男性更年期障害に対する認知度が向上中!
うつ病と誤認されがちなLOH症候群

更年期障害といえば、「閉経に伴うホルモンバランスの乱れによって、多くの女性が苦しめられるもの」という認識が一般的です。ところが、中高年男性が訴える心身の不調のなかに、男性ホルモン低下の影響によるものが見られることから、「男性更年期障害」への認知度が次第に高まってきています。

うつ病ではなかった!?男性更年期障害に高まる関心

2017年6月下旬、日刊工業新聞のある記事がヤフーニュースで取り上げられ、瞬く間にSNSで話題となりました。それは男性の更年期障害についての記事です。

歳を重ねるにつれて身体が変化していくのは当然であり、男性も女性と同じく、加齢とともにホルモン量が変化します。しかし、その影響で生じる体調不良を、すぐに更年期障害と結び付けて考えられる人は一部のようです。なかには、患者さんの自己判断や医師の誤診などにより、うつ病に罹患していると思い込み、治療法を試してもなかなか症状が改善しないというケースもあるといいます。

日刊工業新聞「ニュースイッチ」の報道によると、国内での潜在的な更年期障害患者数は約600万人(60代以上で2割、50代以上で1割)と考えられているとのことです。そもそも、今回の記事を読んだ人のなかには、「男性の更年期障害」という言葉を目新しく衝撃的に感じた人もいるかもしれません。しかし、病気の症状であるというエビデンスには乏しかったものの、すでに1930年代の終わりから1950年代にかけて多くの議論を呼んだトピックでもあるのです。

男性ホルモン「テストステロン」とLOH症候群

男性ホルモンの「テストステロン」が低下することによって起こる諸症状は、LOH症候群(late-onset hypogonadism)と呼ばれていますが、その症状がはじめて同定されたのは2010年になってからのことです。研究に携わったのは、英マンチェスター大学、インペリアル・カレッジ・ロンドン、ロンドン大学をはじめとしたヨーロッパの研究機関で、男性にも更年期障害があることを正式に示した研究としてメディアをにぎわせました。

この研究は、当時行われていた欧州の男性を対象とした加齢に関する研究「European Male Aging Study(EMAS)」の一環であり、無作為に選んだ40歳から79歳までの男性3,369人のアンケート調査をもとに分析されています。アンケート内容は「一般」「性」「身体」「心理」にわたり、人々が経験しうる各症状とテストステロン(総量および遊離量)との関係が明らかとなりました。

LOH症候群はその後きちんとした疾患として認められ、一般により広く認知されるよう、現在では医療系ウェブサイトも症状やその対策を紹介しています。

男性更年期障害の主な症状と治療の現状

LOH症候群は女性の更年期障害と比べて発症率が低く、症状がうつ病に似ているため、先述の通り然るべき検査を受けることなく誤認されるケースがあり注意が必要です。

なお、NHS(英国民保険サービス)は、男性更年期障害の兆候や症状を以下のように提示しています。

  • ホットフラッシュ
  • 短気、怒りっぽいなどの気分障害
  • 腹部および胸部への脂肪蓄積
  • 筋肉量の低下
  • 乾燥肌および敏感肌
  • 多汗症、または過度の発汗
  • 集中力の低下
  • エネルギーの低下
  • 性欲の低下

また一方で、2010年の研究において、「集中力の低下」「不安」「緊張」「無力感」「睡眠パターンの変化」「イスから立ち上がりにくい」といった症状は、男性ホルモン量の低下と直接は関係していないという結果が出ています。

LOH症候群の治療としては、ホルモンの分泌を整える生活習慣の見直しやホルモン補充療法などが一般的です。件の研究が発表される2010年以前の10年間で、米国ではすでにホルモン治療の需要が4倍となっており、社会的な関心の高さがうかがえます。

男性ならだれしも直面する可能性があるLOH症候群。男性更年期障害が認知されるにつれ、心身の不調に悩まされる男性患者がホルモン値の検査を希望するケースが増えるかもしれません。

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