1. 命を危険にさらすほど無理をして働くのが必須条件?医師にとっては他人事ではない過労死の実態

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2017.01.18

命を危険にさらすほど無理をして働くのが必須条件?
医師にとっては他人事ではない過労死の実態

病院での過酷な労働に加え、他院で当直バイトもこなし、たまの休みはオンコール。当直の日ではないのに、家に帰る時間がなくて診察室のベッドで眠った。そんな経験のある医師も珍しくありません。なかには、過労で精神に支障をきたし、自ら命を絶ってしまいたいという考えが頭をよぎったことのある医師もいるようです。今回は、医師にとって他人事ではない「過労死」についてまとめていきます。

「若いうちの苦労は買ってでもすべき」にも限界あり

日本には、「若いときの苦労は買ってでもせよ」という言葉があります。若いうちにたくさん苦労を経験したほうが多くを学べ、人間的な成長を促すとともに将来の役に立つという考え方です。もちろんそれに一理あることは確かですが、過剰な苦労が若者の心身に異常をきたすケースもしばしばメディアに取り上げられます。

2015年に起きた電通社員の自殺問題が話題となった際は、女性社員が、SNSやメールで何度も周囲に心のSOSを発信していた事実が明らかとなりました。それでもだれも彼女を助けられず、目まぐるしい毎日に押し流されるようにして亡くなった状況を、歯がゆく思った人もいたのではないでしょうか。

新入社員を徹底的に鍛える会社の方針や、新入社員のほとんどが社会的にエリートとされる立場の若者であることなど、電通の一件はまた、どこか研修医の立場に共通する部分もあります。過重労働や厳しい新人教育が日本社会に受け入れられていることで、苦労の限界に対する社会的な認識がゆるい傾向にあるのも事実です。

警視庁が発表したデータに見る「医療従事者と自殺」

警視庁が発表した統計によると、日本における2015年中の自殺者は総数24,025人で、前年に比べ1,402人減少したとのことです。3万人を超えていたころと比べるとずいぶん少なくなったと感じる人もいるかもしれませんが、先進国の間ではまだまだ非常に高いと言えます。

その中で、病院勤務医も含まれる「被雇用、医療・保健従事者」を見ると、自殺者は333人で、うち190人が男性、143人が女性でした。日本全体では男性が自殺者の69.4%を占めていることから、被雇用者の医療・保健従事者に関しては女性の割合が高いことがわかります。看護師や介護士など、医師以外も含まれるため、ここでの詳細は不明です。ただし、男性の自殺率が女性よりもはるかに上回る米国でも、医師だけを見ると全体を見た場合よりも女性の割合が高くなっていることから、日本もその傾向に当てはまる可能性があります。

また、医大生を含む「大学生」は、男性300人、女性79人、合計379人が自殺してしまったとのことです。こうした数字からは、現代が若者にとって心の健康を維持しにくい社会であることが読み取れます。

社会に忘れられがちな「医師の精神と肉体の限界」

「今月は忙しくて、残業が100時間を超えた」そんな一般会社員の台詞を聞くと、医師はどのように感じるでしょうか?「100時間なんて『普通』でも超えるのでは?」と、労働時間に対する感覚が麻痺(まひ)している医師も多いかもしれません。

2007年に厚生労働省がおこなった病院勤務医の現状を把握する調査では、たとえば青森県の病院に勤める産婦人科医34人を平均した場合、週当たりの勤務時間が68時間になるという結果が出ています。そのうえ、月当たりの当直回数は平均8回、宅直(オンコール)の場合は、月当たり平均18日です。
人員配置や契約内容など病院によって勤務条件は異なりますが、このようなデータを目の当たりにすると、過労死という言葉が現実味を帯びる毎日を送っている医師の存在が容易に想像できます。それがいくら若く活力にあふれた医師だったとしても、「精神」と「循環器」に大変な負担がかかっていることでしょう。そして、それら2つは、過労死の2大原因とも言われているものです。

人の命を救う使命に燃える一方で、自身を省みることは後回しにしがちな医師もいます。世間から「医師は身を粉にして働くのが当然」と考えられている節もありますが、人間としての限界を受け入れ、セルフケアにも気を配るほうが、最終的には社会により貢献できそうです。

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