1. 薬物副作用の情報に翻弄された患者さんが急増!週刊誌の影響が医療現場にも

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2016.09.15

薬物副作用の情報に翻弄された患者さんが急増!
週刊誌の影響が医療現場にも

患者さんに納得していただけるように、薬の副作用や治療に伴うリスクなどを説明するのも医師の大切な仕事です。しかし、一部にはそれらのリスクを必要以上に恐れ、相談が極端に長引いたり、適切な治療を拒否されたりする患者さんもいます。

こうしたケースの発生はある程度仕方のないものですが、メディアによる影響で誤解される方が急増するのは、患者さんと医師の双方にとって不利益です。今回は、週刊誌が取り上げ注目された特集の内容と、そこから読者や医療現場に広がった影響についてご紹介します。

大手週刊誌が特集した薬剤の副作用

大手週刊誌が、2016年5月末から何週にもわたって「一般によく処方される薬の副作用」に関する特集を組み、大きな話題となりました。紙面には「ダマされるな!」「寿命が縮みます」といったあおり文句が並び、読者の興味を惹いています。
特集で取り上げられた薬剤は、抗血栓薬や降圧剤など内科医にとっておなじみのものが多数。それらについて、恐ろしい副作用があるため医師に出されても飲み続けてはいけないという注意がなされています。

医師はもちろん副作用について心得ており、だからこそ、こうした薬は一般の市販薬コーナーには並んでいません。安全のため、医師から処方された場合のみ用法用量を守って服用すべきものです。しかしながら、記事内容からは「疾患」「薬剤投与」「副作用」が機械的かつ自動的につながっているような印象を受けます。

患者さんそれぞれの容態を把握し、薬剤を選び、投与する量を決め、経過を観察して次の治療方針を決める。どうやら、そういった本来のプロセスはおこなわない前提の「危険」だといえそうです。

週刊誌の影響でパニックに陥る患者さんが急増

医師が読むと「そんなことは当たり前、なおかつ”めったにない”」と流す内容でも、患者さんのなかには週刊誌が盛り上げた特集内容を信じ込んでしまう人がいます。自分が服用している薬の危険性が紹介されていればより敏感になることでしょう。

たとえ確率が0.1%であろうと、日本では1度も事例が報告されていないような珍しいケースであろうと、「怖い副作用」について知ってしまった読者は少なからず不安や恐怖に駆られます。自分がよく理解していなかった情報だけに、「本当のことを知ってしまった」という錯覚に陥るのかもしれません。

そのような現状を受け、また別の週刊誌は「パニック患者が激増」と報じ、この社会的な混乱に翻弄(ほんろう)される患者さんの心中とその影響を風刺しました。週刊誌の情報を信じて薬を拒否する患者さんが急増し、医師がその対応に悲鳴を上げているというのです。

医療現場では情報の修正が負担となるケースも

確かに、該当する薬剤を処方する科を中心に現場では少なからず影響が出ているようです。患者さんから突然薬に関する質問が増えたことを疑問に思い、後でこの週刊誌騒動を知ったというケースも多いかもしれません。

発言した医師の名前を挙げて説得力を出したり、インパクトのある表現に編集するなど、単なる副作用の情報がたちまち「センセーショナルな事実」として改めて紹介されてしまった今回のできごと。雑誌の車内吊り広告を見かけただけだったり、知り合いから話に聞いただけだと、直接週刊誌を目にしていない人にもその情報は波及し、深く浸透しているようです。なかには、「新聞で読んだ」と情報の出処がいつの間にか頭のなかですり替わってしまっている人もいるといいます。

植え付けられた不安を抱えた患者さんに対する説明に、医師が多大な時間を割く場合もあるとのこと。こうした対応を何度も求められては、さぞ大きな負担となることでしょう。

「恐れ」は、人々の注意や関心を引きつける格好の題材だといえます。しかし、患者さんにとって最善の選択をしていただくために1人ひとりの誤解を解かなくてはならない医療関係者のためにも、もっと慎重に情報を取り扱ってもらいたいものです。

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