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Dr.トレンドレポート

vol.08
2016.7.14更新

そもそも医師偏在って?厚労省「医師の偏在解消」に本腰を

特定の診療科や地域への医師の偏在を解消させようと、国の動きが活発化しています。
厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」が4月20日に開いた会合で同省は、医師が不足する診療科や地域ごとに医師の確保数の目標値を設定したり、将来にわたり偏在が継続する場合を想定して、すでに十分整備された診療科に医師の定員を設定したりすることを今後の検討テーマに掲げました。
いずれも医療計画の見直しという位置付けで、医師の偏在を解消するため都道府県の権限を強める方向性です。

同省がこの日、これら以外に提示した政策のメニューの候補は、
「特定の診療科や地域の診療に従事することを診療所の管理者の要件にする」
「診療科や地域ごとに専門医の定員を設定する」
などといずれも大掛かりです。

検討会では5月19日、これらを盛り込んだ中間取りまとめを固めました。引き続き法改正も視野に話し合い、医師だけでなく看護師なども含めた医療従事者の偏在解消策を年内に取りまとめることになっています。

厚労省は、一連のメニューを検討会のメンバーからこれまでに挙がった意見を整理したにすぎないと説明していますが、これまでの「自由開業・自由標榜」の原則を結果的に制限する可能性も認めています。ただ、こうした方向性に医療現場などが強く反発するかもしれません。実際にどこまで踏み込むかは、今後の話し合いの行方次第という状況です。

医師の偏在解消に向けた動きがここへきて一気に動き出しました。それでは、そもそも医師の偏在とはどういう状況なのでしょうか。これまでの政策の流れを追いました。

医学部定員削減を180度転換 「医師不足」か「医師偏在」か

この2つのキーワードをめぐり、医師の養成をめぐる国の政策は2000年代に迷走しました。医師不足という言葉がクローズアップされたのは、04年にスタートした「新医師臨床研修制度」がきっかけだったとされています。これによって出身大学以外の病院に臨床研修の間口が広がると、研修医の医局離れが加速し、地域の医療機関に派遣していた勤務医の大学による引き揚げが相次ぎました。

このころは、2001年に誕生した小泉政権が社会保障費の伸びを毎年2200億円削減させた時期と重なります。医師不足にあえぐ医療現場が救急患者の搬送に対応し切れず「たらい回し」(受け入れ不能)が起きたり、診療報酬引き下げの影響で経営破たんする病院が増えたりして「医療崩壊」がメディアに大きく報道されました。

厚労省は当初、医師の絶対数自体は不足しておらず、むしろ問題は「偏在」だと指摘し、国は医師が過剰になるのを防ぐために、大学医学部の定員を削減してきました。
しかし、医師不足が社会問題化すると、厚労省は06年に「新医師確保総合対策」を、翌07年に「緊急医師確保対策」を相次いで打ち出し、暫定的な医師の増員に乗り出しました。

さらに舛添要一厚労相(当時)は08年5月、厚労省の「安心と希望の医療確保ビジョン会議」の会合で医学部の恒久的な増員の必要性に言及し、同年6月に政府が閣議決定した「経済財政改革の基本方針2008」(骨太方針2008)には、医学部の定員を「過去最大程度まで増員」し、「今後の必要な医師養成について検討する」と明記されました。
これは、医学部の定員を削減する従来の政策からの明確な転換を意味するものでした。

医師確保対策から偏在解消対策へ

これまでの一連の医師確保対策が医師の偏在解消にどこまでつながったのか。
塩崎恭久厚労相は今年5月11日、政府の経済財政諮問会議の会合に臨時議員として出席し、これまで展開してきた医師確保対策を報告しました。それによると、医学部の定員増によって医師の総数はこれまでの20年間、一貫して増え続けていますが、診療科別では、「麻酔科」で医師確保が順調に進んでいるものの「外科」や「産科・産婦人科」の医師数は伸び悩み、格差はむしろ拡大しています(図1)。
一方、人口10万人あたりの医師数を地域別に見ると都道府県庁の所在地周辺に集中し、全国ベースでは「西高東低」の傾向が鮮明です(図2)。

この日の会合で塩崎厚労相は、「いまだに医師の地域偏在・診療科偏在は解消されていない」と指摘しました。そのうえで、診療科や勤務地の選択を規制することも視野に入れた偏在解消策に転換させる必要があるとの認識をあらためて示しました。
塩崎厚労相の提案は、自由開業・自由標榜を前提にしてきたこれまでの医師確保対策から、次のステージに入ることをめざす内容です。これを実現させることで今度はどれだけの効果を生み出せるのか、関係者の注目を集めそうです。

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