1. 病院と二人三脚。「院内コンビニ」ホスピタルローソンの挑戦

病院と二人三脚。「院内コンビニ」ホスピタルローソンの挑戦

業界内で最大のシェアを誇るコンビニチェーン

※イメージ画像です コンビニ大手の「ローソン」(東京都品川区)が全国の病院とタッグを組み、「ホスピタルローソン」を積極展開しています。
ホスピタルローソンは、病院という閉ざされたマーケットでニーズに対応しようと、他社に先駆けた2000年、石川県七尾市の恵寿総合病院に24時間営業の店舗を出店したのが始まりです。今では全国で店舗数を増やし、11月1日に253店目を出店しました。これはコンビニ業界で最大のシェアといいます。

ローソンの企業理念は「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします」。
同社のホスピタルローソン推進部の渡辺隆弘マネジャーは「病院もひとつのマチとして捉え、そのマチの人たちを幸せにしたい」と話します。

「クローズドマーケット」に好機あり

病院への出店にローソンが踏み切った背景には、コンビニ業界での競争の激化もありました。「街中の“路面店”でコンビニ各社がしのぎを削るなか、これに代わる新たなマーケットを開拓しようという狙いもあった」と渡辺さん。こうした戦略が企業理念とマッチしました。
病院だけでなく、近年では大学、空港、自衛隊の駐屯地、高速道路のサービスエリアなどにコンビニ各社が積極的に出店しています。いずれも外部から閉ざされた「クローズドマーケット」ですが、路面店と異なり、他社と競合する可能性が低く、いったん出店すると比較的安定した売上が見込めるのも魅力の一つです。
ホスピタルローソンの出店先は大学病院や自治体病院などさまざまで、ときには同じ病院に複数店舗を出店することもあります。特に09年以降は出店のペースを上げていて、店舗数は10年に100店、14年に200店を超えました。

病院ならではの品ぞろえに注力する

「オーダーメードの院内売店」がモットーのホスピタルローソン 画像提供:ローソンコミュニケーション本部広報室「オーダーメードの院内売店」がモットーのホスピタルローソン
画像提供:ローソンコミュニケーション本部広報室
病院ならではの品ぞろえに注力 画像提供:ローソンコミュニケーション本部広報室病院ならではの品ぞろえに注力
画像提供:ローソンコミュニケーション本部広報室

院内のサービス向上につなげようと、病棟を建て替えたり改装したりするタイミングで出店を希望する病院からの問い合わせが近年、増えているといいます。これを受けてローソンでは、外来・入院ごとの患者数やスタッフ数などを考慮して出店するかどうかを判断します。

ホスピタルローソンの特徴は「オーダーメードの院内売店」。
病院への出店では、患者や家族だけでなく、長時間にわたって勤務するスタッフのニーズにいかに応えるかがポイントです。
渡辺さんは「たとえばドクターは、三日三晩泊まり込みで働き続けることも多く、白衣を着たまま病院の外に出るのに抵抗を覚える場面も多いはず。病院での日常をホスピタルローソンがサポートしたい」と話します。

ただ、路面店とでは客層が大きく異なるだけに、病院ならではの難しさも伴います。たばこや酒類などの嗜好品は基本的に販売せず、逆に、紙おむつや入院生活に必要な商品、治療食のカタログなど病院ならではのラインナップをそろえているのが特徴です。病院側にニーズがあれば、これらの商品や雑誌などを病棟でワゴン販売します。

業界初、社内に病院専門チームを設置

医療現場の多様なニーズを的確に把握しようと、08年には病院のマーケティングを担当する「ホスピタルローソン推進部」を立ち上げました。病院への出店を担当する専門部署を立ち上げたのはコンビニ業界でローソンが初めてです。
現在は専属のスタッフ10人が所属し、新規出店先の病院に店舗の設計や品ぞろえをアドバイスしたり、出店先の病院から要望をヒアリングして円滑な店舗運営につなげたりしています。

また渡辺さんは、診療報酬改定など、医療制度の見直しに向けた国の動きもチェックしています。
なかでも注目しているのが、各都道府県の地域医療構想をめぐる動きです。本格的な高齢化に伴う医療ニーズの変化に対応しようと、この構想に沿った医療提供体制の再編が各地で本格化しようとしています。その一環で病院同士の統合を模索する地域も多く、統合によって新しい病院が誕生すれば、そこに新たなニーズが生まれることが予測されます。
病院と二人三脚で進める、ホスピタルローソンの挑戦が続きます。

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