開業医、開業希望医、必見!在宅医療の質を高めるアイデア集

【第1回】 訪問・診療体制の工夫

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複数の専門医による訪問診療で ケアの質を向上
~医療法人社団小磯診療所(神奈川県横須賀市) 磯崎哲男理事長~

看護師や介護職のレベルアップにもつながる

磯崎 哲男理事長

医療法人社団小磯診療所は、1973年の開設当初から在宅医療を展開してきた。2004年に磯崎哲男理事長が承継した後もこの路線を引き継ぎ、さらなる機能強化を続けている。一例が皮膚科と整形外科の専門医による訪問診療だ。この狙いについて磯崎理事長は「各科の専門医が訪問することによって対応できる範囲が広がるので、在宅での療養を継続できる可能性が高まります。患者さんやご家族にとって安心感をもたらすほか、私たち内科医にとっても専門医のバックアップがあるということは心理的負担の軽減につながっています」と説明する。

実際、皮膚科医は重度の褥瘡に対応。内科医では対応が難しいデブリードマンなどの処置が必要なケースも在宅で診療している。また、整形外科では脱臼や骨折が疑われるものの診断が難しい患者などに対して訪問を実施。早期発見や治療、その後のリハビリにつなげるなど質の高い医療の提供に貢献している。

専門医による訪問診療の展開は、ほかの職種への教育にもつながっている。
たとえば、皮膚科医による褥瘡への対応では、看護師が訪問診療に同行するなかで処置の方法や悪化させない対処法についての知識を得ることができる。磯崎理事長は、「最近では、訪問看護に出向いた看護師が『皮膚科専門医に相談したほうがいい』と判断したら訪問時に皮膚の状態を写真に撮り、診療所に戻ってからそれを皮膚科医に見せて必要な処置を指示してもらうといった具合に、皮膚科医が直接訪問しなくても対応できるケースが増えました。これにより、より多くの患者さんに専門的な治療を実践することができています」と手ごたえを語る。

教育効果は法人内にとどまらない。特に要介護度の高い高齢者を受け入れている介護施設などでは褥瘡や転倒による骨折はしばしば発生し、職員が対応に苦慮しているケースが少なくない。そのため、専門医が自ら診療を行う際は、ケアの方法についてもアドバイスすることがある。

また、「実はいつもこんなことに困っていて……」「こういうときはどうしたらいいですか」という相談を専門医が受けることもある。そこで対処法や効果的な予防法についての知識を身につけてもらうことは介護職にとって日々の介護のレベルアップにもつながる。こうした対応は、「小磯診療所なら専門医が対応してくれて安心」という信頼感を醸成することにもなり、連携体制の強化にもつながっている。

仕事と子育ての両立支援で女性専門医の採用に成功

複数診療科の医師による訪問診療体制を構築するうえで気になるのは専門医の確保だが、同院では磯崎理事長の出身大学のネットワークを中心に、在宅医療に興味を持っている医師を採用している。特に大きな戦力になっているのが子育て中の女性医師だ。

「子育て中も医師として働きたいが、長い時間拘束される仕事はできないという女性医師は少なくありません。在宅医療であれば、訪問件数を調整すれば短時間の勤務も十分可能で、子育て中の女性医師には働きやすい環境と言えます。そのため当院ではそうした方に積極的に声をかけ、活躍してもらっています」と磯崎理事長。

現在は、女性医師がより働きやすい環境をつくるべく院内保育園を設置。こうしたアイデアを通じてさらなる診療の充実を図っていく方針だ。

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