組織を活性化する会議術

【第2回】 会議術~事前準備(2)

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内山惠司(医療法人社団翔洋会 辻内科循環器科歯科クリニック 事務局長)

ポイント
  • 問題提起から議論、決定、課題解決へのサイクルをつくり出す

会議を「議論の場」にするために

前回、会議活性化の取り組みとして、参加者の意見を引き出すためには事前に問題提起を行うことが有用だと述べました。今回は、事前の問題提起の仕組みについて説明します。

事前の問題提起の仕組みを構築するうえで、最も重視すべきは「継続」することであり、「事前の問題提起はいつするのか」がカギを握ります。前回の会議の内容をベースに、それをファシリテーターがきちんと理解・整理して次回の会議までにまとめ、そのなかから次の問題提起をして、それをもとに参加者が議論し、決定していく――。

この循環をつくり出すことが、より多くのスタッフから意見を引き出す近道になります。定期的にきちんとしたポリシーのもとに会議を「継続」することで「問題」がその場の「点」ではなく「線」として共有され、議論から解決まで継続されていくのです。

一見すると、時間がかかるように思うかもしれませんが、事前提言のない状態で会議を行うと、多くの場合「議論の場」のはずの会議が「問題提起の場」になってしまいます。その結果、声の大きい人だけが多く発言をし、問題提起はするがその場限りの発言ばかりで「答え」を出すことができず、物事は一向に決まりません。

たとえ何らかの結論が出たとしても多角的な視点が乏しいうえ、実行段階になって問題が多発し計画自体が頓挫するケースも多く見られます。

ファシリテーターは「予定調和」をイメージせよ

次に、意見を「理論的・客観的にどう判断していくか」という点についてです。前回、「選択方式」の会議について触れましたが、これを実施するためには、ファシリテーターとなる人がある程度「予定調和」をイメージし、関係部署や経営トップと事前に意見交換を行う、いわゆる“根回し”が大変重要となります。この根回しは「ヒトを鍛える」うえで、非常に重要なファクターにもなります。

経営トップや専門職と対等に話をするには知識が劣っていてはきちんとした議論ができません。勉強やコミュニケーション能力が必要になります。

逆に経営トップや専門職はファシリテーターから理論的な相談や提言を受けることで、多角的に議論を行うための材料を持って会議に参加することができるため、より深みのある意見交換ができるようになります。

したがって、ファシリテーターには診療所の経営・現場の状況・医療制度や地域事業などの外部因子など、さまざまなバランス感覚が必要となります。逆に未熟な場合、ややもすると組織全体をミスリードしてしまう可能性もあるのです。そのため、ファシリテーターの提言はあくまで「事前」とすることで、そのまま決定事項にするのではなく、その後の会議できちんと議論し問題点をつぶしながら、決定していくことが重要となります。

このような会議のプロセスが「継続」されていくと、結果として各幹部スタッフに法人の考え方が浸透していきます。また、ファシリテーターには「カリスマ性」が生まれ、その信頼感から、さまざまな意思決定が論理的かつ合理的に行えるようになっていくことが期待できます。

理想的な状況をつくり出すまでには、組織と各個人が一定の努力と成功体験を重ねていく必要があります。まず幹部スタッフがこのようなロジックを理解し、それぞれがどのような役割を担うのかを考え、行動に移すことが重要です。

次回は、当院におけるファシリテーターの役割などについて紹介します。

内山惠司(うちやま けいじ)
1971年、千葉県生まれ。93年、中央医療技術専門学校卒業後、東京医科大学霞ヶ浦病院放射線科入職。99年、霞ヶ浦成人病研究事業団出向。2001年、東京医科大学霞ヶ浦病院帰職。03年、医療法人社団翔洋会辻内科循環器科歯科クリニック放射線科入職。同年より臨床福祉専門学校外来講師。08年、医療法人社団翔洋会辻内科循環器科歯科クリニック事務長、13年、同事務局長(併任)に就任

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